住民税の計算方法は?確定申告からふるさと納税との関係まで!正しい住民税決定通知書の見方
住民税決定通知書は、納税者の前年1年間の収入を基に、居住地の自治体が計算した住民税の通知書です。この書類には単に納税額や期限だけでなく、所得額や控除額などの具体的な根拠も詳細に記載されています。
そこで今回は、住民税決定通知書の概要や見方に焦点を当て、納税額や期限だけでなく、所得や控除に関する詳細情報も解説します。
また、万が一通知書を紛失した場合の対応方法についても紹介したいと思います。
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住民税は地方の行政サービスを維持し、発展させるために不可欠な税金の一環です。
なかでも、個人住民税と法人住民税は地域社会において個人や法人が負担する役割を果たしています。
会社員の場合、個人住民税は、各市町村(都道府県)が居住者に対して課税します。
この税金は、納税者の所得や年金所得に基づいて計算され、地域のニーズや予算に応じて変動します。また個人住民税の決定通知書は、納税者にとって非常に重要であり、税金の詳細や支払い期日などが記載されています。
徴収方法には普通徴収と特別徴収があり、これは納税者の所得区分や年金所得の有無によって異なります。
普通徴収とは、源泉徴収のように給与や年金から一定の割合で天引きされる方法です。
特別徴収とは、納税者が自ら申告し、納税期間内に分割して支払う方法です。
こうした基本的な住民税の仕組みを理解することで、税金の使途や控除の詳細について理解を深めることにつながることが期待されます。
住民税の計算方法
住民税の計算は以下の手順で行なわれます。
【総所得金額の算出】
合計所得金額 = 年間の収入から経費や法的控除を差し引いた額
合計所得金額とは、1月1日から12月31日までの年間収入から、経費や法的控除を差し引いた金額です。
所得税の確定申告を済ませた人は、前年度の確定申告書の所得欄を確認することで、合計所得金額(青色申告者は青色申告特別控除を差し引く前の金額)がわかります。給与所得者は、会社から受け取る源泉徴収票を見ることで、給与所得の額を確認できます。
【所得控除】
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除など、所得税とは異なる控除項目があり、住民税の計算でも、所得税と同様に所得控除があります。
所得控除は所得額から差し引かれる金額で、所得税とは異なります。以下は住民税における所得控除の一例です。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
これらの控除は、所得税の所得控除とは異なるもので、住民税の計算において考慮されます。
【課税所得の計算式】
総所得金額-所得控除額の合計 = 課税所得額
【所得割の計算式】
課税所得額 × 税率(10%) = 税額控除前の所得割額
【税額控除】
税額控除前の所得割額-税額控除の額 = 税額控除後の所得割額
税額控除には、配当控除、外国税額控除、寄附金税額控除などがあり、以下が税額控除の一例です。
- 配当控除
- 外国税額控除
- 寄附金税額控除
- 配当割額及び株式譲渡所得割額の控除
- 住宅借入金等特別税額控除
- 調整控除
【均等割の加算】
税額控除後の所得割額 + 均等割額 = 住民税の額
【住民税額計算の例】
たとえば、年間の収入が300万円で所得控除が合計で100万円の場合、住民税の計算は以下の通りです。
- 課税所得額:300万円(総所得)-100万円(所得控除)=200万円
- 所得割の計算:200万円(課税所得)×10%=20万円
- 税額控除:なし
- 住民税額:20万円(所得割)+5,000円(均等割)=20万5,000円
※この計算では調整控除を省略しており、均等割は災害対策に関連する金額が加算されたものです。
住民税決定通知書の受け取りと確認
通常の徴収の場合、納税者本人には納税通知書が例年6月ごろに送られます。
一方、特別徴収の場合、5月ごろに事業者に住民税決定通知書が送付されます。この通知書には事業所用と本人用があり、本人用の住民税決定通知書も事業所を通して本人に届けられます。
そして肝心の住民税決定通知書の見方としては以下3つのポイントがあります。
- 収入総額や控除対象額、課税対象所得、扶養親族の数の明示
- 所得税率や均等割などの税金計算を掲載
- 納付欄では、給与を受ける人々に関しては、6月から翌年5月までの各月の支払い額を明示
ちなみに確定申告の際、住民税に関して所得税の確定申告を行う必要がある人は、期限内に所得税の確定申告を完了すれば、住民税の申告は不要です。
以下の条件に当てはまる人は、住民税の申告が不要となります。
- 所得税の確定申告を行った人
- 会社で年末調整をされた人
- 公的年金の所得だけで、かつ住民税の特別な控除を受けない人
住民税を滞納した場合、通常の税金に加えて滞納金が発生します。支払いが遅れると、まずは地元の区市町村から督促状が送付されることが一般的です。
督促状が到着したら、速やかに税金を支払うか、区市町村の担当窓口に連絡を取る必要があります。万が一、未納が続く場合は電話での連絡や催告書が送られることがあり、さらには財産が差し押さえられる可能性もあります。
どうしても納税が難しい場合、特別な事情があれば猶予が認められることもあります。
ただし、何も連絡せずに滞納を続けることは避けるべきです。
ちなみに住民税を未納した場合、通常の税金に加えて滞納金が発生します。
支払いが遅れると、まずは地元の区市町村から督促状が送付されることが一般的です。
督促状が到着したら、速やかに税金を支払うか、区市町村の担当窓口に連絡を取りましょう。
それでもなお未納が続く場合は、電話での連絡や催告書が送られることがあり、最終的には財産を差し押さえられる可能性もあります。
個人住民税の特例制度と減免
個人住民税の特例制度と減免についての要点は以下の通りです。
市・県民税の課税制度
前年の所得に基づいて市・県民税が課税されます。
特別事情による減免: 納付が困難な場合には、申請により減額・免除が可能です。審査のために申請書と証明書類の提出が必要です。
減免対象者
- 生活保護を受ける方
- 所得がなく生活が困難な方
- 学生・生徒
- 災害により被害が著しい方
- 特別な理由のある方
所得基準・減免割合
- 生活保護を受ける方:免除
- 学生・生徒で所得が52万円以下:免除
- 相続人で納付が困難な場合:免除又は減額
- 失業・廃業等により所得が減少:免除又は減額
- 災害・傷病等により所得減少・異常な出費がある場合:免除又は減額
- 災害により被害が著しい場合:免除又は減額
申請期限
減免を受けるためには、対象の納期までに申請する必要があり、納期限を過ぎると適用されないので注意が必要です。
ふるさと納税と住民税の関係
ふるさと納税は、日本国内で行われている地方自治体への寄付制度の一つです。
この制度では、寄付を行った人がふるさと(出身地や好きな地域)に対して納税を行い、その寄付額の一部または全額を所得税や住民税から控除することができます。
寄付先となる自治体は、ふるさと納税を通じて地域振興や地域への応援を促進することが期待されています。
ふるさと納税の流れ
寄付先の自治体を選ぶ
ふるさと納税を行う際には、寄付先となる自治体を選びます。これは出身地や応援したい地域など、寄付者が自由に選択できます。
寄付金額を選ぶ
寄付者は、選んだ自治体に対して寄付する金額を選択します。自治体によっては、寄付金額に応じて特産品や地域特産品、観光割引券などの返礼品が用意されていることがあります。
寄付手続きを行う
インターネットを通じて、寄付者は寄付手続きを行います。自治体のウェブサイトや専用のふるさと納税ポータルサイトを通じて、必要な情報を入力し、寄付を行います。
納税証明書の発行
寄付が完了すると、自治体から納税証明書が発行されます。この証明書を利用して、所得税や住民税の申告時に寄付額を控除することができます。
返礼品の受け取り
選んだ自治体によっては、寄付者に対して返礼品が送られてきます。これは返礼品として提供されるものであり、自治体ごとに内容が異なります。
ふるさと納税は地域振興や交流を促進するだけでなく、寄付者にとっては税制面での優遇措置があるため、多くの人に利用されています。
また、ふるさと納税は所得税や住民税の控除対象となります。寄付者は、寄付額の一部または全部を所得税と住民税から控除できます。
所得税と住民税の控除限度額
所得税や住民税の控除は、寄付額に上限があります。控除限度額は法律によって定められており、一定の範囲内でのみ寄付額を控除できます。
たとえば所得税の場合、控除限度額を超える寄付額は次年度に繰り越すことができる場合があります。
住民税の納税先とふるさと納税先の関係
住民税は通常、本人の住んでいる自治体に対して納める必要があります。しかし、ふるさと納税では好きな自治体に寄付ができるため、住民税とふるさと納税先の自治体が異なる場合があります。
住民税は本人の住所地に基づいて計算・納付されるため、ふるさと納税先の自治体で住民税を支払う必要はありません。
控除申告手続き
ふるさと納税における所得税や住民税の控除は、年次の確定申告時に行います。寄付者は自治体から発行された納税証明書をもとに、申告書に必要な情報を入力して控除を受けることができます。
このように、ふるさと納税は所得税や住民税の控除対象となり、地方自治体の応援や地域振興に寄与する一方で、寄付者には税制上のメリットもあります。ただし、控除の範囲や手続きには一定の制約があるため、具体的な状況に合わせて適切な情報を確認することが重要です。
実践的な住民税の管理と節約術
ここまで住民税や住民税決定通知書の見方について解説しましたが、それでも住民税にはややこしい部分があります。
その最大の理由が「住民税の請求は半年遅れてやってくる」ことにあります。
たとえば2022年の住民税の徴収は2023年1月からではなく、2023年6月からはじまります。
つまり、前年に収入があったので、住民税を事前に前年分から用意しておかなければなりません。とはいえ、どうしても支払いがむずかしい場合、自治体に相談の上、分割などの相談ができるようです。
そもそも住民税は自治体によって減免制度が異なる場合が多く、まずは地元の役所に問い合わせる必要があります。なぜなら、仮に減免制度があったとしても、役所が教えてくれるわけではないため、自分で相談に行く必要があります。
ほとんどのケースで住民税を減額する場合、確定申告と還付申告という下記2つの方法があります。
【確定申告】
もしも会社員で12月までに退職した場合、会社で年末調整がされないので、本来は返ってくるはずの税金が返ってきません。また、会社員の税金は1年間の収入をあらかじめ設定しておき、それに応じて税金が計算されるため、仮に退職して年収が減っているにも関わらず、高い年収で計算された税金を支払うことになります。
こうした事態を避けるためにも確定申告が必須であるのです。
【還付申告】
還付申告は確定申告の一種ですが、大きく異なる点があります。
たとえば確定申告の時期は毎年2月16日から3月15日の1ヶ月の期間が受付ですが、還付申告の場合はいつでも受付が可能です。
また確定申告は「前年の収入+経費」を申告して税金の金額を決める制度であり、1年分を申告しますが、還付申告は最高で5年前まで遡って申告することが可能です。
このように確定申告と還付申告という2つの方法で、合法的に住民税を減らすことが出来るのです。
まとめ
今回は住民税決定通知書の見方から計算方法、特例制度やふるさと納税との関係、確定申告や還付申告まで、解説させていただきました。
そもそも住民税は地方社会の維持と発展に欠かせない税金であり、その計算方法や特例制度を理解することは、個々の納税者にとっても大切なことです。
また所得や控除に関する詳細情報は、納税者が公平かつ正確な納税を行うための手助けとなるでしょう。
通知書の受け取り時期や基本構成、所得の詳細、控除額の明細など、その内容を正確に理解することで、税金の優遇措置や節約のポイントをしっかりと把握することが重要です。
そして、確定申告や還付申告といった手続きを行うことで、合法的に住民税を適正に管理し、不要な負担を軽減することが可能です。
ふるさと納税は、地域振興や応援の手段として利用され、その際には所得税や住民税の控除も受けられます。この仕組みを理解し、適切に気持ちよく活用することで、納税者と自治体の連携が促進され、地域全体の発展に寄与することが期待されます。
最後に、確定申告や還付申告を通じて合法的な手段で住民税を管理することは、個人の経済的な安定やリテラシーにつながると思います。
その第一歩として、住民税決定通知書の見方を知ると、実に多くの情報が盛り込まれていることが把握できるはずです。
これらの知識を有効に活用し、税金の節約や管理に適切に取り組むことも、私たちが生きる社会に寄与する一環といえるのではないでしょうか。