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世界経済の次のトレンド「グローバルサウス」に注目の理由

世界経済の次のトレンド「グローバルサウス」に注目の理由

世界経済のトレンドを考える上で重要な指標のひとつに「人口」があります。

なぜなら、人口は労働力と直結しており、人口動態をみていくと、その国の未来の姿がある程度見えてくるからです。

現在、全世界の人口は80億人を突破。
そのなかで30歳以下の人口の約90%は発展途上国に在住しているといわれています。
若者層は一般的にテクノロジーへの抵抗感が少なく、5Gの普及も進んでいるため、アフリカを含む一部の国々を除いて、世界各地で利用が可能になりました。

この事実は、先進国以外の地域に住む人々もインターネットを通じて世界中で仕事をすることが出来るようになったことを示しています。

言い換えれば、かつてはシリコンバレーなどの地域で、テクノロジー企業が労働力を確保していましたが、世界中に広がりつつある時代が訪れているのです。

これにより、新たに「グローバル・サウス」とよばれる国や地域が世界経済の次のトレンドとして注目を浴び、今後の経済の成長率が高いと予想されています。

世界を見渡せば、日本を含めた先進国で加速する少子高齢化の課題に悩まされず、持続的な発展を遂げようとする国がたくさんあるのです。

この人口動態の変化により、新興国や途上国がテクノロジーを活用し、世界経済に重要な役割を担う可能性が高まっているといえるでしょう。

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世界経済の次のトレンド「グローバルサウス」とは

南アジア、ラテンアメリカ、アフリカなど、南半球に位置する新興国や途上国を指して「グローバルサウス」と呼ぶことがあります。

かつては冷戦時代に「第三世界」と呼ばれたこれらの国々は、将来的にはアメリカや中国を上回る名目GDPの合計を持ち、人口でも全世界の3分の2を占めると予測されています。これにより、国際社会での経済的・政治的な注目が高まっています。

最近では、ウクライナ危機や米中対立が進行するなかで、グローバルサウスの国々は中立の立場を取り、他国との対立を避ける傾向があります。

グローバルサウス注目国:インド

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特にグローバルサウスの代表国として中立を強調し、リーダーシップの地位を確立しようとしているのがインドです。

実際に、2023年にはインドの人口が中国を抜いて世界一位となり、G20の議長国を務めるなど、国際社会における発言力が増しています。

同年1月にインド政府が主催した「グローバル・サウスの声サミット」がグローバル・サウスの概念を強調するきっかけとなりました。

このオンライン会合のスピーチで、インドのモディ首相は「グローバル・サウス諸国が将来的に最も影響力を持つ存在になるべきだ」と訴え、インドがその代弁者としての役割を果たす決意を示しました。

この動きは、ロシアによるウクライナ侵攻や国境問題などの外交的な課題に直面する中、新たな外交戦略として「グローバル・サウス戦略」を意図的に打ち出す背景がありました。

この外交戦略の特徴は、まず、中国を枠外に位置づけ、インドが発展途上国を代表する存在としている点が挙げられます。

次に、南北問題や南北格差を意識し、多国間の主要国組織であるG7やG20などにおいて、南半球に位置する国々が抱える課題を積極的に取り上げる意図があります。

同サミットはアフリカから47カ国が参加しており、そのなかでインドとアフリカの連携が重要視されているため、インドはG20議長国として、アフリカ連合(AU)のG20常任メンバー入りを提案。
2023年のG20インド首脳会合で、正式な加盟が決定しました。

この提案は、南アフリカを除くアフリカの14.8億人の人口を考慮し、国際協調の場でアフリカの意見が反映されていない現状を改善する戦略の一環とされています。

インドはアフリカ各国の支持を確保し、国連での影響力を高めることが外交上の狙いでした。

また、発展途上国を代表する存在としてアフリカとの結びつきを強調することで、インドの地域的な影響力を示し、中国の「一帯一路」構想との関係に対抗したいとの考えも存在します。

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グローバルサウス注目国:ベトナム

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グローバルサウスのなかで成長著しい国として、ベトナムも注目されています。

国際通貨基金(IMF)の報告によれば、ベトナムの2022年購買力平価(PPPベース)のGDPは、1兆3200億ドルを達しています。

この購買力平価とは、ある国の通貨で同じ商品が他の国の通貨でも同じ価格で買える状態を指します。

たとえば、日本での価格が120円、米国での価格が1ドルとし、為替レートが1ドル=120円ならば、両国で同じ購買力を持っており、購買力平価が成り立っています。

この数字により、ベトナムは東南アジアにおいて第3位、そして世界25位の位置についています。

現在、PPPベースのGDPが大きい東南アジアの国は、1位がインドネシアで4兆0370億ドル、2位がタイで1兆4820億ドルです。

しかし、ベトナムは2026年にはタイを抜き、東南アジアにおいて2位に躍進すると予測されています。
さらに、2028年にはオーストラリアやポーランドを抜いて、世界ランキングでも20位に達するとの予想もあります。

この成長予測は、ベトナム経済が将来的にますます拡大し、国際的な舞台での存在感が高まることを示唆しているといえるでしょう。

このように「グローバル・サウス」の概念は、対象国を特定せず、広範囲に適用するスタンスを維持しています。この曖昧性により、先進国や中国以外のさまざまな国が含まれ、結果的に新興国や途上国で構成される「グローバル・サウス」という影響力のある集団を浮かび上がらせることに成功していると考えられます。

こうした経済的な成長の観点から見ていくと、グローバルサウスはますます注目を浴びる新たな力として台頭していくことが予想できるのです。

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 グローバルサウスに投資するなら

ここではグローバルサウスへ投資をする場合を想定した考え方を整理したいと思います。

基本的にグローバルサウスに該当する国々の経済規模は小さいことから、米国株式市場のように世界中から投資ができる環境が整ってはいません。

そのため、一部の国の企業の個別株は購入することができても、多くの国の個別株に対して、日本から投資することがとても難しい現状があります。

また、個別株の場合、会社の浮き沈みと国の経済成長が必ずしも一致するとは限りません。

そのため、グローバルサウスへの投資はETFや投資信託を利用するのが一般的です。

ETF、投資信託とは

ETF(Exchange Traded Fund)は、日本語で「上場投資信託」と呼ばれます。

ETFは一般的な投資信託と異なり、取引所に上場しているため、個別株と同じように、証券会社を通じて取引所での売買が可能です。

また、ETF(上場投資信託)と投資信託(インデックスファンド)の大きな違いは、取引のしやすさです。

投資信託は、多くの投資家が一定の金額を出資し、これらの出資金をプロのファンドマネージャーが株式、債券、不動産などの様々な資産に分散して運用します。1日に1回だけ基準価額が算出され、その価格でしか取引できません。

それに対してETFは、取引所で株と同じようにリアルタイムで取引ができます。

また、ETFと投資信託は基本的に指数の動きに連動した運用成果を目指しており、この点で共通しています。

グローバルサウスの投資先ETF

グローバルサウス投資は、2023年から格段に投資がしやすくなりました。

これまで、新興国を対象としたETFの代表格は、

「iシェアーズ・MSCI・エマージング・マーケット・ETF(EEM)」
「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)」

でした。

しかし、これらETFの中身を見ると、全体の約半分が中華圏を占めており、グローバルサウスが占める割合は半分。

そのため、投資家がグローバルサウスへ投資するには、インドなどの国にまるごと投資をする個別のETFに分散投資する必要がありました。

こうした状況のなかで、2023年に誕生した投資信託があります。
それがSBIアセットマネジメントの「EXE-i グローバルサウス株式ファンド」です。

このファンドは、グローバルサウスに該当する約30カ国に投資することが可能。

また、実質的な信託報酬が0.583%と低く、申込手数料がない(ノーロード)という特徴があるため、投資先として検討候補のひとつといえるでしょう。

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ハワード・マークスから学ぶ市場サイクル

投資 グローバルサウス

ここまで世界経済の次のトレンドとして「グローバルサウス」に注目してきましたが、経済には市場サイクルといういうものがあります。
絶えず動いているものであるならば、こうした市場サイクルにはどのように対処すべきでしょうか?

そこで参考にしたいのが、米国の著名な投資家であるハワード・マークス(以下マークス)の「市場サイクル」という考え方です。

マークスは市場サイクル全般の基本的な性質を理解することで、何がサイクルの変動要因となるのか、投資全般に関わる重要な問いに対して主に下記のような解説をしています。

・基本的なテーマは繰り返され、歴史は韻を踏む傾向にある

・サイクルのひとつの出来事は次の出来事に影響を及ぼす

・心理は、環境の変化に過剰反応する傾向にある

・リスクは全くないとみなされる場面もあれば、不可避で致命的とみなされる場合もある

・市場価格は好材料を過剰に織り込む場合もあれば、好材料を無視して悪材料だけを織り込む場合もある

こうした市場サイクルの条件を認識した上で、市場が今どこに位置しているのか、それを見極める必要があるとマークスは説いています。

たとえば、株式市場に過度な楽観論が広がっており、株式のバリュエーション(企業の株式評価)が高すぎて過熱した市場の場合、多くの良好なニュースが報道されるといいます。

こうした状況下では、いかに株式を買わず、場合によっては保有株を売却するようにするかが重要です。

また、ネガティブなニュースが多く報道され、株式市場に停滞したムードが漂うときこそ買い時の可能性が高いとも指摘しています。

つまり、市場サイクルのなかで立ち位置が変化すれば、経済情勢が変わるのでトレンドも変化します。当然、いつまでも同じような投資スタンスでいると、あるサイクルに対して受け身になるということです。

こうした状況に備えるため、マークスの考えではポートフォリオをある時点で最適にするために、攻撃と防御のバランスを決めることが重要だといいます。

これは重要な問いかけだと私は考えます。

なぜなら、現在、人気の全世界株式(オール・カントリー)やS&P500など、人気のインデックスファンドは、プロの投資家の8割に勝てるといわれるほど優れた投資パフォーマンスを発揮しています。

しかし、市場トレンドの観点からみれば、10年単位で先進国と新興国のブームが入れ替わりやってきているという事実があります。

そのため、ポートフォリオのメインに全世界株式やS&P500を置きながら、世界経済の次のトレンドをポートフォリオの一部に組み入れることで、市場サイクルを意識しつつ、リスクヘッジした資産運用に近づけるのではないでしょうか。

だからこそ、次の市場サイクルや世界経済のトレンドを意識することが重要なのです。

マクロ経済でグローバルサウスを巨視的にとらえる

ブルマーケットといわれる「強気相場」には、3段階のプロセスがあるといいます。

1、並外れた洞察力に富んだ一部の投資家が、状況が良くなると考える

2、状況が良くなっていることに多くの投資家が気づく

3、状況が永遠に良くなり続けるとすべての人が信じる

これは投資家の心理が少なからず株式市場に影響を与えることを意味します。

また1の段階で購入することができる投資家であれば、資産を飛躍的に増やすことができるでしょう。

しかし、筆者自身を含めた多くの投資家にとって、優れた投資家になるのはとても困難です。

そのため、長期投資を前提にマクロ経済の観点から市場サイクルや世界経済のトレンドを考えていくと、前述したように「グローバルサウス」が注目の理由がみえてくるのです。

マクロ経済とは、経済全体の規模や全体の動向に焦点を当てる経済学の分野です。

個々の企業や市場ではなく、国や地域全体の経済についての研究を対象としています。

多くの投資家はトレンドをポートフォリオの一部に組み入れることを検討するプロセスそのものが、投資家としてのレベルアップにつながるのではないでしょうか。

おわりに 

最後に、今後グローバルサウスの時代が到来したときに注意したいことがあります。

それがビジネスや投資の世界で最も危険な「今回は違う」という考え方です。

このような発言をするとき、人間は過去のサイクルやルールと今回は異なると信じているわけですが、金融市場におけるサイクルは、科学や物理のような法則から生まれたわけでありません。

なぜなら、金融の世界には人間の心理が関わっており、人間は常に科学的な意思決定ができるわけではないからです。

言い換えれば、投資を続ける限り、ミスを避けることはできないということです。

なぜなら、経済も株式市場も1本のまっすぐな線に沿って順調に動くことはなく、おそらく未来においても変わることはないからです。
そのため、正確に詳細な未来を予測することができない以上、ミスは必ず付いてきます。

しかし、長期で今後5年、10年のサイクルを見ていくと、大きな方向性は分かるはずです。

そして、世界経済の大きなトレンドとしてグローバルサウスの台頭があり、該当する国は若者が多く、今後、国の中核を担っていくことや先進国よりも高い経済成長をすることは、明確に予測できます。

だからこそ、グローバルサウスの時代がやってくるといえるのです。

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